【11】PLAYZONE '96 RHYTHM
Playzone '96「RHYTHM 」
上演) 上演期間は1996年7月21日 〜8月11日(青山劇場)、8月13日〜8月15日(フェスティバルホール)。計38公演。
〔第一幕〕
M1 Overture(作・編曲: 馬飼野康二)(EVE)
M2 音楽の精のテーマ(作詞:高須晶子、作・編曲: 馬飼野康二)(EVE)
- ~「ハイティーンブギ」(錦)、「お祭り忍者」(植)、「太陽のあいつ」(錦)、「ギンギラギンにさりげなく」(植)~
M3【メドレー1】
パラダイス銀河(作詞・作曲:飛鳥 涼、編曲:馬飼野康二、船山基紀)(original:光GENJI)
恋=DO!(作詞:小林和子、作曲:小田裕一郎、編曲:馬飼野康二、船山基紀)(original:田原俊彦)
MUSIC FOR THE PEOPLE(作詞:秋元康、作曲:G.S.A.J Project、編曲:馬飼野康二、船山基紀)(original: V6)(+トニセン)
パラダイス銀河(作詞・作曲:飛鳥 涼、編曲:馬飼野康二、船山基紀)(original:光GENJI)
組曲・デカメロン伝説(作詞:高須晶子、編曲:馬飼野康二、船山基紀)(EVE〜植草)
「燃えよドラゴン〜ストリート・ファイター」
情熱☆熱風☽せれなーで(作詞:伊達 歩、作曲:筒美京平、編曲:馬飼野康二)(秋山〜少年隊)
M4 星屑のスパンコール(編曲:馬飼野康二)(植草)
M5【メドレー2】
MACK THE KNIFE(作詩:Marc Blitzstein、作曲:Kurt Weil、編曲:内堀 勝、ピアノ:世良 譲)(original: Lotte Lenya)(EVE〜錦織)
じれったいね(inst.)(編曲:内堀 勝、ピアノ:世良 譲)*サントラ未収録
まいったネ 今夜(編曲:馬飼野康二、編曲:石田勝範、内堀 勝、ピアノ:世良 譲)
M6 $10(作詞:森 浩美、林田健司、作曲:林田健司、編曲:木村賢一)(original: SMAP)(トニセン)
M7 MADE IN JAPAN(作詞:平井森太郎、作曲:Pasquini-Batten、編曲:星野靖彦)(original:V6)(カミセン)
〔第二幕〕
M9【メドレー3】
ギンギラギンにさりげなく(作詞:伊達 歩、作曲:筒美京平、編曲:馬飼野康二)(original:近藤真彦)(トニセン、秋山)
What's your name?(編曲:馬飼野康二)(EVE)
ダイヤモンド・アイズ (編曲:馬飼野康二)(EVE)
M10 アンダルシアに憧れて(作詞・作曲:真島昌利、編曲:木村賢一)(original:真島昌利、近藤真彦)(東山)
地球はひとつ(作詞:高須晶子〈オリジナル作詞:北 公次〉、作曲:都倉俊一、編曲:馬飼野康二)(original:フォーリーブス)(トニセン)
太陽のあいつ(作詞:高須晶子〈オリジナル作詞:岩谷時子〉、作曲:いずみたく、編曲:馬飼野康二)(original:ジャニーズ)(植草+トニセン)
ブルージーンズ・メモリー(作詞:松本 隆、作曲:筒美京平、編曲:馬飼野康二)(original: 近藤真彦)(東山)
うわさのキッス(作詞:高須晶子〈オリジナル作詞:工藤哲雄〉、作曲: 都志見隆、編曲:馬飼野康二)(original: TOKIO)(植草、錦織)
NAI・NAI 16(作詞:森雪之丞、作曲:井上大輔、編曲:馬飼野康二)(original: シブがき隊)
ONLY YOU(作詞・作曲:Buck Ram、馬飼野康二)(original: The Platters)(東山)
LOVE YOU ONLY(作詞:工藤哲雄、作曲:都志見 隆、編曲:馬飼野康二)(original: TOKIO) (錦織、EVE)
よろしく哀愁(作詞:安井かずみ、作曲:筒美京平、編曲:馬飼野康二)(original: 郷ひろみ)(植草)
M11 【メドレー4】
男の子 女の子(作詩:岩谷時子、作曲:筒美京平、編曲:馬飼野康二、船山基紀(original: 郷ひろみ)(EVE、東山)
ハッとして!Good(作詞・作曲:宮下 智、編曲:船山基紀)(original: 田原俊彦)(植草)
M12 NEVER MY LOVE(作詞・作曲:Don&Dick Addrisi、編曲:馬飼野康二、ストリングアレンジ:飛澤宏元)(original: The Association/ジャニーズ)(EVE、錦織)
ふたり(inst.)
M13 PGF
音楽の精のテーマ
HOLD YOU TIGHT
Oh!!
M14 君だけに
M15 HOLD YOU TIGHT
M1〜15はサントラ収録曲順序。記載のない曲はサントラ未収録。
ストーリー)
【第一幕】
・CDショップ「RHYTHM」に音楽を求めて集まる人々と3人の店員(少年隊)。「音楽の妖精」たち(EVE)が蓄音機を回し出すと、音楽の旅が始まる。3人の店員が制服からステージ衣装に着替え華やかに歌い踊る。
・ジャニーズ高校のチアガールたちと一緒にテニス部の植草先輩らの優勝祝賀パーティー。
・カンフー(トニセン)のファイト。
・小学生男子3人が鞄持ちゲーム。
・植草+コーラス
・ジャジーな音楽の流れるバー。
・ストリート・バスケット
・ジャングルジム
【第二幕】
・ディスコ
・トニセンの朝の風景に現れた植草先輩、一緒にナンパへ
・ビーチのカフェバーでモテているマイケル(ヒガシ)に弟子入りを願う植草先輩
・ラジオで若者の風紀の乱れについての討論。
・ダンスクラブでのチークタイムに乗り込む風紀委員。
・階段ステージ
・CDショップ
VHS/LD『PLAYZONE'96 RHYTHM』(1996年10月2日/1997年11月22日に廉価版VHS再発)収録時間: 2時間25分
DVD『少年隊 35th Anniversary PLAYZONE BOX 1986-2008』(2020年12月12日)収録時間:2時間25分
音楽作品『PLAYZONE '96 RHYTHM』(1997年7月10日)
*これまでプレゾンのサントラは、ビデオと同時か、あるいは公演の前に発売されていたが、今回、初めて公演時の音源を収録した「ライブアルバム」のようなものになり、1年後に発売。その二週間後にはそれまでの形式に戻った「PLAYZONE'97 RHYTHM II」のサントラも発売されている。
キャスト)
少年隊: 錦織一清
EVE:新里レオナ
新里クララ
新里リリカ
Johnny's Jr:原 知宏
秋山 純
V6:坂本昌行
長野 博
井ノ原快彦
杉村理加
浜田紗知子
絵馬優子
北村優花
鳴海由子
大友美夏
山田哲也
長坂貴之
本山新之助
山内一哉
スタッフ)
監督:ジャニー喜多川
脚本:高須晶子
演出:山田和也
振付:前田清美、SANCHE
美術:金井勇一郎
衣装:加納豊美、北川和子
照明:勝柴次郎
音響:今村太志
舞台監督:染谷伸幸
プロダクションマネージャー:小林清孝
企画:安倍 寧
__________
まずは'95年「King & Joker」から'96年「RHYTHM」までの少年隊。ニッキは舞台『天井桟敷』で浅丘ルリ子ら大御所と共演。ヒガシはTVドラマ「シェフ」。12月はシングル「Oh!!/PFG」を発売し、年末から正月へかけ、デビュー10周年のコンサートツアー。
96年に入り、かっちゃんは新婚旅行、ニッキは舞台『スカーレット』、ヒガシは『雨に唄えば』、と少年隊はデビュー10周年を祝いつつ、ソロ活動も充実の1年。
プレゾンは10作目「King&Joker」がニッキ脚本・演出ということで気合い入りまくっていたせいか、これでファイナル?11年目はもうないのでは?と思っていた人もいたようですが、無事開幕。
今回はジャニーズではデビューしたてのV6と、後のMAの秋山純が登場。そして少年隊の数々のシングル曲でコーラスを務めていた、三人姉妹のコーラスグループ、EVEが狂言回し的に出演。彼女らは本当に80年代のあらゆる歌謡曲、ポップスのコーラスを手がけており、矢野利裕は「コーラス隊としてのEVEに焦点を当てることで、ジャンルの枠を越えた交流が見えてきそう」と述べている。確かに!しかしクレジットがされてないことが多くて、調べるのは至難の業。少年隊では少なくとも「バラードのように眠れ」「Stripe Blue」「ABC」「My Girl」「What's your name?」あたりはEve がコーラスをやってそう。調べていて飛び上がったのは、岡村靖幸の80年代も!「Young Oh! Oh!」「Check out Love」「Water Bed」「彼女はScience Teacher」「生徒会長」「イケナイコトカイ」「うちあわせ」「Super Girl」「Vegetable」のEveのコーラス!まさか「Stripe Blue」の"♪ Fu Fu Fu Fu Why don't you kiss me?"と、「Young oh! oh!」の"♪ I don't love you"とを同じ人たちが歌ってたとは…。
少々脱線。
本作、音楽監督としてアレンジを手がけるのは歌謡界にその名をとどろかせる馬飼野康二。少年隊ではJImmy Johnson名義で「What's your name?」を手がけてます。
さてPlayzone '96は初めての「レビュー形式」。ただしサントラ盤のブックレットに掲載されている企画の安倍氏の解説を見ると、彼は本作はレビューではなく「ブックレス・ミュージカル」である、と断言しています。
ゆるやかな枠組みだけがあるこういうミュージカルは、昔ならばレヴュウと呼ばれたかもしれない。でもブックレス・ミュージカルとレヴュウはまったく違う。レヴュウは、前後の脈絡なくさまざまな唄と踊りの場面をつなげただけだけれど、ブックレス・ミュージカルにはひとつのコンセプトがある。その作品をひとつにまとめるためのある考えがあるといってもいい。
ミュージカルに疎いまま少し検索すると、『CATS』などが「ブックレス・ミュージカル」に入るらしいのだけれど、タカラヅカの舞台の第二部が「レビュー」と呼ばれ、それぞれにテーマがあることを思うと、むしろ本作はレビューと呼んだほうがよいんじゃないの?と思ったりしたのだけれど…
"RHYTHM"のコンセプトは、いうまでもなくリズムである。今、世の中にはやっている音楽にはこんな多彩なリズムがあるんですよとばかり、このミュージカルはさまざまなリズムを並べて見せる。"RHYTHM"はまさにリズムの陳列会なのである。
ここで言われている「リズム」という語のニュアンスは、おそらくピンと来ないのでは?いま「リズム」という観点で音楽を選んで聞く人は多くないでしょう。しかし実は日本では「ニューリズム」が「新しい音楽」、もっと言うと「新しいダンス音楽」を示していた時代があったのです。輪島裕介著『踊る昭和歌謡 リズムからみる大衆音楽』によると、戦前の日本に西洋から「ダンス音楽」が入ってきた当初は、何でもかんでも「ジャズ」と呼ばれていたけれど(タンゴは例外的に別枠で「タンゴ」と呼ばれていた)、戦後は細分化。まず1955年〜56年には「マンボ・ブーム」が到来。
マンボ・ブームをきっかけに、50年代後半から60年代を通じて、特定の踊り方と結びついた音楽スタイルが「ニューリズム」としてほぼ毎年のように紹介され、60年代前半にはいくつかのリズムが一定の成功を収めている。(…)チャチャチャ、スクスク、パチャンガのようにラテンアメリカ系のものが多いが、カリプソやスカのような英語圏カリブ由来のもの、ツイストやサーフィンのようにアメリカの主流的若者音楽由来のもの、(…)ドドンパのように日本で発明されたものさえある。ボサノヴァのように、現在ではダンス・リズムとはみなされていないものもニューリズムとして紹介された。(…)当時において「ニューリズム」ないし「リズム」という用語は、外来の新しい音楽の潮流が輸入される際に、現在ならば「ジャンル」に相当するような基本的な認識の枠組みを提供していた、と考えることもできそうだ。
『踊る昭和歌謡 リズムからみる大衆音楽』輪島裕介(NHK出版新書、2015年、53-54頁)
つまり、いまなら「Hip Hop」だ「R&B」、と言われるような「音楽のスタイル、ジャンル」が、日本では60年代後半まで、「リズム」と呼ばれていたのだ。
毎年、洋盤と邦盤をまたいで、そしてレコード会社をまたいで、また映画やダンスホールなども巻き込んで、「今年はこれだ」という形で演出される「ニューリズムの時代」は1966〜1967年(昭和41〜42年)あたりで終わる。(…)そして次にやってくるのがGSの時代
(同上、214ー215頁)
この作品は、「CDショップ」にいろんな音楽を求めにくるところから始まる。音楽の精たちが、「オールディーズ ヘビーメタル ヒップホップ エスニック サーフィンミュージック ディスコサウンド 今日もみんなが探している 新しい歌を探している」と歌うので、さぞ色々な曲が歌われるのだろう、と期待して見ると、わりとすぐに「全部ジャニーズかい!」とツッコミ入れることになります。
これに関して、安倍氏の解説。
次から次へと出てくる曲は、少年隊のレパートリーだけとはかぎらない。ジャニーズ事務所に所属する他のタレントたちのヒット曲が、これでもか、これでもかと目白押しに並んでいる。
そういう意味ではこのミュージカルは、ジャニーズ事務所というプロダクションの歴史にもなっている。リズムとともにジャニーズ事務所のヒストリーが、このミュージカルのコンセプトかもしれない。
実はこの1996年はジャニーズ事務所発足35周年。本作では歴史的な新旧の流れはとっぱらって、ヒット曲が、おそらく敢えて平面的に、地図的に布置されている。
「リズム」は新しい方が良いというわけではない。
ジャニーズ事務所ヒストリー(1962〜1996年)1964年12月、ジャニーズが「若い涙」でレコードデビュー。1965年12月、ジャニーズが第16回NHK紅白歌合戦に初出場。 1966年8月28日、ジャニーズが本格的なダンスレッスンをするために渡米。 1967年1月5日に帰国するも、年内で解散。9月25日、郷ひろみ、「男の子女の子」でレコードデビュー1980年6月、田原俊彦、「哀愁でいと」で歌手デビュー1982年5月、シブがき隊、「NAI・NAI 16」でレコードデビュー。1985年、中村繁之のバックダンサーとして、「シゲダン」結成→「少年忍者」 1985年12月、少年隊、「仮面舞踏会」でレコードデビュー。1986年1月、『アイドル花組おとこ組』放送開始。1987年6月、光GENJI結成:内海 光司、大沢 樹生、諸星 和己、佐藤 寛之、 山本 淳一、赤坂 晃、佐藤 敦啓1987年8月、光GENJI、「STAR LIGHT」でレコードデビュー。(活動期間 :1987年~1995年)1988年4月、スケートボーイズ12名の中からSMAP結成:中居正広、木村拓哉、稲垣吾郎、森且行、草彅剛、香取慎吾( 1996年、森脱退。2016年SMAP解散。2017年、 稲垣、草彅、香取退所。2020年、中居退所。) 1990年8月、忍者「お祭り忍者」でCDデビュー。1991年9月、SMAP、『Can't Stop!! -LOVING-』でCDデビュー。1994年9月、TOKIO、「LOVE YOU ONLY」でCDデビュー1995年11月、V6、「MUSIC FOR THE PEOPLE」でCDデビュー
続いて、このPlayzone'96で歌い踊られた曲目を、それぞれの「リズム(ジャンル)」に注目しながら見て行きます(今回の記事、こういうのがメインです)。
パラダイス銀河:光GENJI (1988)(作詞・作曲:飛鳥涼 / 編曲:佐藤準)
「STAR LIGHT」「ガラスの十代」に続く3曲目の飛鳥涼にして、光GENJI最大のヒット曲。ASKA氏曰く「それまでは、ジャニーズの曲は作曲家や作詞家などの、いわゆる先生と呼ばれる商業作家と呼ばれる人たちが手掛けていた。そんなときに、光GENJIというローラースケートを履いてこれまでになかったグループをデビューさせるにおいて、いまの作家陣からニューミュージック系、ロック系に変えようという話になって(2020年3月「Mikiki」のインタビューより)」とのこと。
恋=DO!:田原俊彦(1981)(作詞:小林和子、作曲:小田裕一郎、編曲:大谷和夫)
「哀愁でいと」「ハッとして!Good」に続く3rdシングル。作曲者の小田裕一郎はサーカス「アメリカン・フィーリング」、松田聖子「裸足の季節」「青い珊瑚礁」などの大ヒットを手掛けており、編曲の大谷和夫は、バンド、SHŌGUNのメンバー。この曲は4つ打ち、BPM120、ストリングス&ホーンに16ビートのコンガまで入った、王道ディスコサウンドになっている。
MUSIC FOR THE PEOPLE:V6 (1995)(作詞:秋元康、作曲:Giancarlo Pasquini・Sandro Oliva・Alberto Contini・Jennifer Batten、編曲:木村貴志)
90年前後からのディスコブームを牽引した輸入レコード販売会社、エイベックスが作ったレーベル、avex traxからのV6、デビューシングル。フジテレビ系『バレーボールワールドカップ1995』イメージソング。作曲者のイタリア人、Giancarlo PasquiniはDave RodgersとしてTMNのリミックスアルバムや安室奈美恵『太陽のSEASON』などを手がけ、日本のユーロビート、Hi-NRG(ハイエナジー)を牽引。
情熱☆熱風☽せれなーで:近藤真彦(1982)(作詞:伊達 歩、作曲:筒美京平、編曲:大谷和夫)
がむしゃら青春路線から変更した、筒美京平によるゆったりディスコサウンド。編曲は「恋=Do!」と同じく大谷和夫。元ネタはCarl Douglasの1974年の大ヒット曲「Kung fu fighting(邦題:吼えろ! ドラゴン)」。本編でこの曲が歌われる前にカンフーの戦いシーンが挿入されているのは、間違いなく元ネタへの目配せ。またその後、関ジャニ∞には「関風ファイティング」という曲があり、こちらもがっつりチャイナ路線。
Die Moritat von Mackie Messer(オリジナル独語版): Lotte Lenya(作詩:Bertolt Brecht、作曲:Kurt Weil)
MACK THE KNIFE(英語版): Bobby Darin(作詩:Marc Blitzstein)
初代「ジャニーズ」が紅白歌合戦初出場時に歌った曲。ジャニーズの『ジャニーズとアメリカ旅行 〜 ジャニーズショウ実況録音』(1966年11月)にも収録。元はドイツの劇作家、ベルトルト・ブレヒトの音楽劇「三文オペラ」の劇中歌。作曲者のクルト・ヴァイルは1935年にアメリカへ移住し、ポピュラー音楽を活動の場に変え、ブロードウェイ・ミュージカルに大きな影響を与えた。この曲はジャズのスタンダードとなり、多くの歌手に歌い継がれている。
$10:SMAP(1993)(作詞:林田健司・森浩美、作曲・CHORUS&GUITAR:林田健司、編曲:CHOKKAKU)
フジテレビ系「夢がMORI MORI」テーマソング。林田健司の曲をカバー。90年代半ばのSMAP楽曲は、主に大流行していた「New Jack Swing」のテイスト。
www.youtube.com
MADE IN JAPAN: V6(1996)(作詞:平井森太郎、ラップ詞:motsu、作曲:Giancarlo Pasquini-Jennifer Batten、編曲:星野靖彦)
V6初のオリコンチャート1位。フジテレビ系『第27回春の高校バレー』イメージソング。「Music For The People」と同じ作曲者。こちらは坂本によるラップパートもあり。
ギンギラギンにさりげなく:近藤真彦(1981)(作詞:伊達 歩、作曲:筒美京平、編曲:馬飼野康二)
作詞の伊達歩は伊集院 静のペンネーム。「リズムパターンやホーンのリフなどはクインシー・ジョーンズ「愛のコリーダ」(1979)、イントロはロッド・スチュワート「アイム・セクシー」(1978)」とヲノサトルに推理されるディスコサウンド。
アンダルシアに憧れて:真島昌利(1989)(作詞・作曲・編曲:真島昌利)
アンダルシアに憧れて:近藤真彦(1989)(作詞・作曲:真島昌利、編曲: 白井良明)
THE BLUE HEARTSのギタリストであった真島昌利のソロシングルをマッチがカバー。以降、ヒガシをはじめ、ジャニーズでは定番曲に。マッチ版のアレンジはムーンライダーズの白井さん。歌詞はNYが舞台だけれど、スパニッシュ・ギターが用いられ、憧れの中に郷愁の雰囲気が漂う。
地球はひとつ:フォーリーブス(1971)(作詞:北 公次、作:編曲:都倉俊一)
少年隊は1986年発売の『BACK STAGE PASS』、『Duet』にてカバー。少年隊夢の「聞かせて少年隊」のコーナーで暴走したニッキが歌ったことも。フォーリーブスはGSブーム(67~69年)と同時にデビュー。つねにバンドサウンドを意識する必要があったが、ブームが去ったのちに出されたこの曲は軽快なソウルナンバーになっている。
太陽のあいつ:ジャニーズ (1967)(作詞:岩谷時子、作・編曲:いずみたく)
1967年4月27日〜7月20日に放送されたTBSテレビ連続ドラマ「太陽のあいつ」の主題歌。「太陽野郎」「でっかい太陽」「燃えろ!太陽」と、東宝制作の「太陽シリーズ」となった最初の作品(いずれも主題歌は岩谷時子&いずみたく)。いずみたくは60年代の永六輔・坂本九らとTVの60年代の音楽ショー番組を手掛けた人物。この曲は当時ブームのグループサウンズ(GS)を意識した「青春エレキ」サウンドで、彼らの最大のヒットとなった。1992年の第43回NHK紅白歌合戦で少年隊も歌っているが、長調に転調している。
ブルージーンズ・メモリー:近藤真彦(1981)(作詞:松本 隆、作曲:筒美京平、編曲:馬飼野康二)
マッチ3枚目のシングル。たのきん主演、同タイトルの映画主題歌。ロックン・ロールなアレンジは、本プレゾンの音楽監督、馬飼野氏によるもの。
うわさのキッス:TOKIO(1995)(作詞:工藤哲雄、作曲: 都志見隆、編曲:白井良明)
フジテレビ系アニメ『キテレツ大百科』エンディングテーマ。作曲者の都志見隆は田原俊彦「ごめんよ涙」も手掛けたヒットメーカー。またもアレンジはムーンライダーズの白井さん。敢えて少しレトロな90年代バンドサウンド。
NAI・NAI 16:シブがき隊(1982)(作詞:森雪之丞、作・編曲:井上大輔)
シブがき隊のデビューシングル。B面の「好きらしいです、オレ!」の作詞は糸井重里だが、タイトルはジャニーさんに相談されたニッキ考案とのこと。作・編曲の井上大輔(旧芸名は井上忠夫)は元ブルー・コメッツ。
ONLY YOU:The Platters(1955)(作詞・作曲:Buck Ram)
アメリカのコーラスグループの大ヒット。1973年に映画『アメリカン・グラフィティ』の挿入歌に起用され、「オールディーズ」といえばすぐに名が挙がる有名曲に。
LOVE YOU ONLY:TOKIO(1994)(作詞:工藤哲雄、作曲:都志見 隆、編曲:西脇辰弥)
TOKIOのデビュー曲。紅白歌合戦初出場の際もこの曲を演奏。上述の「うわさのキッス」も含め、初期のTOKIOシングルはだいたいこの作詞・作曲コンビ。
よろしく哀愁:郷ひろみ(1974)(作詞:安井かずみ、作曲:筒美京平、編曲:森岡賢一郎)
大人路線へ切り替えた郷ひろみ10枚目のシングルは、ジャニーズ所属歌手として初のオリコン1位にして、キャリア唯一のオリコン一位にして最大のヒット曲。吉田拓郎、桃井かおり、シンシア(南沙織)、TOKIOもカバー。作詞はZUZUこと安井かずみ、編曲者の森岡賢一郎は60~70年代の歌謡曲編曲を広く手掛けたヒットメーカーで息子はSOFT BALLETの故森岡賢。タイトルををはじめ、歌詞が注目されることが多いけれど、イタリアン・ツイスト(カトリーヌ・スパーク主演のイタリア映画「太陽の下の18歳」の挿入歌、「Twist No.9」など)な名曲。
男の子 女の子:郷ひろみ(1972)(作詩:岩谷時子、作・編曲:筒美京平)
フォーリーブスのバックダンサーをしていた郷ひろみのデビュー曲は、筒美京平。彼がGS作家時代にオックスに書いたスタックス系R&B歌謡の名曲「ダンシングセブンティーン」を進化させたような曲調。「Go! Go!」という掛け声での聞き手の参加が想定された曲作り、中性的なルックスを売りにした芸名とタイトルと歌詞もお見事。矢野利裕は、「GSの流れを汲むと行っても、当然のことながら、郷を〈ニューロック〉に分類することはできない。郷はむしろ、〈ニューロック〉勢が切り捨てた、GSの芸能的でアイドル的な部分こそを継承しているのだ。(…)郷は、その後ロックやフォークではなく、ソウルやディスコといった黒人音楽を志向することになる」(『ジャニーズと日本』矢野利裕、講談社現代新書、2016年、75−76頁)と、分析している。
ハッとして!Good:田原俊彦(1980)(作詞・作曲:宮下 智、編曲:船山基紀)
宮下智さんの腕が唸ってグレン・ミラー風のスウィングなこの曲は大ヒット。アレンジはビッグバンド・サウンドながら、矢嶋マキのロックンロールなピアノがポップにまとめている。
NEVER MY LOVE:The Association(1967)(作詞・作曲:Don&Dick Addrisi)
1966年、初代ジャニーズのために書かれ、レコーディングも行われたが発売されなかった。翌年アメリカのソフトロックバンド、The Associationがカバーし、全米最高2位を記録。BMI調べによる「20世紀にアメリカのテレビやラジオで最もオンエアされた100曲」のランキングでは、700万回以上のオンエアで「ふられた気持」に続いて2位にランクイン。ジャニーズ事務所でも逆輸入的に歌い継がれており、88年のPlayzone カプリッチョでもニッキが歌唱。
「全部ジャニーズかい!」といったんずっこけてから、歌われた曲を追っていくと、なるほど、ジャニーズを辿ることは、アメリカに敗戦した後の日本のポピュラー音楽文化を辿ることになる、ということを痛感するPlayzone'96 Rhythm。
ここまでの大変長い前置きがむしろ本編だったのですが、一応…
CDショップの店員は、音楽の神の僕として働いている…というような設定がパンフレットでは説明されており、音楽とは神からの賜物である、というキリスト教的イメージを持ち込むなら、このEVEの三姉妹はいわば、天使。Eveさんの歌声は、ほんと80年代、誰よりもレコーディングされ、皆が聞いてきたはず。こうしてメインキャストで出てくると、勝手に少しうれしくなる。
頭にCD付いてる。
テニス部の植草先輩、チアガールにモテモテ。
優等生かっちゃんは、映画『あいつとララバイ』を思い出す。
少年隊が小学生に変身するための時間稼ぎに、この後、なぜカンフーファイティングのシーンが挿入されているかという理由は、この後歌われる曲が「情熱☆熱風☽せれなーで」(元ネタがCarl Douglasの「Kung fu fighting」)だからだろう、というのは上述。
小学生にも悩みあり。男はつらいよ!
要領の悪いかっちゃん、優等生ヒガシ、江戸っ子ニッキ。ファンシーなオーバーオールをお揃いで。
ブロードウェイなニッキ。なぜかスーツが異様に地味。
ピアノ演奏としてクレジットされている世良讓は、夜ヒットの少年隊マンスリー、ジャズ特集の際に共演していたジャズピアニスト。わたしがブレヒト・ヴァイルのこの「Mack The Knfie」に持っている思い入れと、ジャニーズの歴史的文脈がかなり違うことが今回分かって面白かった。
第一幕の終わり、ジャングルジムが登場。
この衣装、過去のジャケット写真やステージ写真がビニールシートのフレームに入れてあって、背中にはそれぞれ「Oh!!/PGF」(植草)、「封印LOVE」(錦織)、「Excuse」(東山)と、リリースが近い曲のジャケ写がサンドウィッチマンの看板のように乗っかっていて、まあ、一言で言え変なのだけど、MOONの時にも書いたように、コンセプトが分かりやすい感じが、当時の『装苑』の装苑賞の頁に載ってそうで懐かしい。
と、写真フレーム部分に気を取られるけれど、冷静に眺めると、これはパステルカラーの長ランだ。
第二幕。
出た!ヒガシの「アンダルシア」!!「スパニッシュ・ミュージカル・バルセロナ物語」を1991年にやったヒガシだけど、マッチが歌う前のデモテープの段階を聞いて、気に入り、いつか歌いたいと心に秘めていたそう。
アンダルシアに関してはこちらの「ささ」さんのブログをご参照ください。
第二部の植草先輩は後輩に慕われるヘタレキャラ。
少年隊によるシブがき隊。
私はシブがき隊と少年隊、どちらもちゃんと観たことがなかったので、どちらが先輩後輩か(デビュー年)も知らず、昨年初めて両者をYoutubeで観て「全然違う!」と気づいた程度だったのですが、その時の知識からシブがき隊に関してはアップデートされていなかったので、ニッキが敢えてワンテンポ遅れて動くのも、かっちゃんのダミ声も、おそらくモノマネなのだろう、としか分からず、本家を確認して笑った!
脚をバタバタさせる振りとか、シブがき隊、出来てないし!!
ウクレレニッキ。
ゴージャスなショー感溢れる階段でのタップダンス。
これまでも何度か歌ってきた「NEVER MY LOVE」。
ニッキがまだ王子様やってくれてる…と感慨深く。
最後の衣装は目を疑うShonentaiのロゴ入り。
ノベルティ風呂敷で作ったみたい…
という感じで、『Rhythm』、本人らが遊んでいる部分と、がっつり魅せてくれる部分と両方あって、これはほんと劇場で見てたらものすごく楽しかっただろうな…と想像。
CDショップにCDを買いに行くという設定がもう懐かしいものになってしまっているけれど、こうして時代とジャンルを超えて、並列に音楽を聴く行為は、むしろ今のサブスク時代に似ているのかも、と思ったり。
さて、私はついに来月、初の生かっちゃんです!
楽しみ!!!!